107号2000年 9月号 の記事から

■老化と活性酸素 

回は、活性酸素と生活習慣病の関係をご紹介しました。身体の疲れや冷え、そしてストレスやタバコなどによって、活性酸素は体内に増えていきます。その活性酸素が体内で私達の細胞を攻撃します。例えば、

@DNA(核酸)

活性酸素は細胞の核の中のDNAを傷つけます。特にDNA塩基のグアニンが損傷されやすいと言われています。傷つけられた細胞は、突然変異を起こし、正常な細胞を再生できなくなります。そしてその変異細胞がガン細胞へ変わって行きます。したがって、ガンの予防は、活性酸素を除去することが大切と解ってきました。

A蛋白質

蛋白質が活性酸素に攻撃を受けると、タンパク質の変性が起こり、その場所によって色々な疾患になります。例えば、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞が攻撃を受けると糖尿病が発生します。眼球の水晶体が変性すると白内障に、脳内の黒質が変成されればパーキンソン病になると言われています。これらの病気は、老化や生活習慣が原因と言われてましたが、活性酸素がそれらの病気の引き金になると解ってきたのです。

B脂質

細胞膜の中の脂質が活性酸素により酸化され、細胞膜が破壊されると次のような疾患が起こります。胃の壁の細胞が攻撃されると、胃の粘膜が炎症を起こし胃潰瘍となります。また、アルコールやウイルスが原因とされていた肝臓病も、活性酸素の攻撃で肝細胞の脂質が変化し、肝障害を引き起こします。

CLDL(悪玉コレステロール)

LDLコレステロールが活性酸素によって酸化されると、動脈の内側にべっとりへばりつく粥状細胞となり、動脈を狭くしてしまう動脈硬化が進みます。この動脈硬化進むと血圧も上がります。また、狭くなった血管内に血栓がつまると、心筋梗塞や脳梗塞などの恐い症状を引き起こしてしまいます。また、仮にこの血栓を取り除く処置をしても、いままで血液が流れにくかったところに急に血液が流れ出すと、血液再濯流とよばれる現象で、活性酸素が大量に発生し、後遺症を残してしまいます。昔から、動脈硬化にビタミンEが使われてきたのは、LDLコレステロールの酸化を防ぐ事によって、動脈硬化の進行を止めるためだったのです。

Dコラーゲン

紫外線が皮膚にあたると、皮膚の中で活性酸素が発生します。活性酸素を除去するためにメラニン色素が沈着するわけですが、除去しきれなかった活性酸素は、コラーゲンの弾力を低下させ、皮膚の張りを失わせます。これがシワの原因です。老化によってシワが出来るのは、体内のSOD酵素の量が加齢とともに減少するからとも言われています。また、漁師や屋外で働く人の手や顔の深いシワは強い紫外線を長年浴びているからで。化粧品にビタミンCやEが使われているのは、ビタミンの抗酸化作用によるものです。

■活性酸素と生活習慣病の発生メカニズムの分かりやすい図

以上、活性酸素の身体への影響を上げてみましたが、どんな症状も、自然に治る力を助けて、病気にならない予防が何より大切です。そんなお手伝いをするのが薬局のお仕事です。お気軽にどうぞ。

 

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