昨年は、中国産の残留農薬や日本国内でも老舗の賞味期限の偽造など、「食の安全」への関心が高まりました。また、今年に入ってから、中国の毒入り餃子で日本中、大騒ぎになってしまいました。
現在の日本の食生活を考えると、夫婦共稼ぎでゆっくり料理を作る時間がなくなっている事を背景に、スーパーなどでの持ち帰り総菜や弁当に人気があります。また、家族の帰宅時間がバラバラで、一人で食べる「孤食」や、自分の好きな物を食べる「個食」も当たり前になってしまいました。
また、若い方の傾向として、お腹がすくとすぐに近所のコンビニに行って、スナック菓子や清涼飲料水・カップ麺を食べて、食事時間には、血糖値が上がって、食事を残してしまうケースも多いようです。空腹でなくても、ゲームをしたりマンガを読んだりしながらダラダラと食べ過ぎる。これでは、食事の時間にお腹は満腹で、本来の食事のおいしさは味わえません。
お腹が空いた時に、家族といっしょに食事をすること、一昔前には当たり前の事が、今はかなりのエネルギーを使わないと続けることが難しい習慣になってしまいましたね。また、食事の素材はすべて植物や動物の命を頂いている事に、感謝の気持ちで「いただきます・ごちそうさま」と言葉で口に出すことが心にも体にも必要です。
日本の農産物の自給率は、四割以下。今後、国内で農産物を生産する人口は、超高齢化を迎え、おじいちゃん・おばあちゃんが畑を止めたら、後継者なしという農家がほとんどです。手間暇をかけて生産した農作物は、味も違えば栄養も違います。外国産の農産物が大幅に安いのは、それなりに理由があり、それを選択した消費者にも自己責任があるのでしょう。
世界のグルメ・一級品が日本に集まって来るのも現実、また、それに混じって危険な食品が輸入されている事も事実です。そんな中で、地球の三分の一の人々はアフリカを中心に飢餓状態で、今夜食べる食料品にも困っています。
食料品を買う時に、値段より家族の健康を優先する目、そして、台所に食べるものが少なくなったら、我慢する。みんなが揃うまで食事はウェイティング。家族みんなのカロリー削減で、メタボリック症候群を中心とする生活習慣病も減少、医療費削減にもつながり理想の日本が実現するかもしれません。
日本の今の習慣は、戦後のアメリカから押し付けられた習慣です。物が溢れ返り、ゴミが山のように増えて、強いもの・大きなものが正義で、弱者をいたわる精神も消え失せようとしています。日本の伝統的な情緒や感覚も鈍くなり、日本の誇る文化も衰退の一途ですね。
いま私たちが出来る事は、一日3回の正しい食事がスタートなのかもしれません。