181号2008年 10月号 の記事から

おかしな夢は病気かしら?

「寝付きが悪い」「夜中に目がさめて朝まで眠れない」「ぐっすり眠った気がしない」など、睡眠障害を訴える方が増えています。60歳を過ぎると、夜の眠りも浅くなり、日中のウトウトも増えてきます。これは、年齢と共に身体も変化し、睡眠のパターンが変わって来た訳で、ご心配は要りません。20代の方は、10時間ぐっすり眠る事も簡単ですが、60代では、不可能です。60歳過ぎれば、6時間くらい眠れば10分な方が多いのです。したがって、毎日必ず8時間熟睡しなければならないと、大真面目に考え過ぎない方がいいでしょう。

  では、なぜ人間は、睡眠が必要なのでしょうか。脳の消費エネルギーを調べると、昼間の活動している時と、夜、熟睡している時(レム睡眠)の消費エネルギーは変わりません。つまり、眠っている間も脳は活動しているのです。でも、昼間と眠っている時では、脳は別の仕事をしています。
  昼間は、見る・聞く・味わう・触れる・臭いをかぐなど五感を通して、外から様々な情報が入って来ます。寝ている間は、五感は働きませんので外からの情報は止まり、脳の内部に貯まった情報を整理しています。

  また、脳神経を調節する物質は、大きく二つに分かれ、それぞれまったく違った働きをしています。たとえば、昼間は、アミン系物質が働いています。アミン系物質が活発に働けば、外から入って来た情報を論理的に整理し身体にどんな動きをすればいいか命令を出します。したがって、昼間起きている時は、車が近づいて来たら避けるし、おいしいものが運ばれてきたら、おいしく食べられます。夜、ぐっすり眠っている時は、コリン系物質が働きます。このコリン系物質が働くと、体内のホルモンやエネルギーなどを貯える活動を活発にしますが、身体を動かす筋肉などには命令が行きません。また、寝ている間は、五感を通して外からの情報は一切入って来ませんので、脳の中にある情報を利用します。また、コリン系物質が活発な時は、情報を論理的に整理する事は出来ません。つまり、現実では考えられないような出来事を夢の中で作ってしまうのです。夢の中では全然関係ない人が、いっしょに出て来たり、不可能な事が簡単に起きてしまいますね。これは、病気でも何でもなく、人間らしい脳の働きなのです。

  人間の身体と脳の神経はうまく出来ているもので、夜寝ている間、身体は、昼間の様には動けません。もし、コリン系物質が活発に動いている夢の状態で、身体が動けば、街中夢遊病者が歩きまわるパニック映画になってしまいます。

 睡眠は、記憶を整理し、身体に必要な物質を製造して貯めておく、大切な時間なのです。


 

 

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