195号2016年 8月号 の記事から

■ピロリ菌は本当に悪者?

 に生息している「ピロリ菌」。 この菌は胃酸が溢れる強い酸性の環境でも、人間と共に百万年以上共存して来ました。
ところが、ここ百年ほどで減少傾向にあります。その理由は、上下水道の普及で、殺菌された水を使用する生活になりました。
また、ピロリ菌と胃潰瘍の関係が明らかになり、胃カメラなどの検査で、ピロリ菌(+)と診断されると、複数の抗生物質を服用して、ピロリ菌を除菌する事が保険適用となり、ピロリ菌を退治する事が一般的となった事も原因です。

 しかし、百万年以上、人間と共に共存していたピロリ菌を退治する事が、本当に人間の健康に貢献しているのか疑問に思う研究者も増えて来ました。最近では、ピロリ菌の体内での働きが徐々に解明されています。

 例えば、ピロリ菌は、宿主の人間の胃酸をコントロールする能力があります。胃酸の過剰な分泌を抑制していたピロリ菌がいなくなると、胃酸が出過ぎて逆流すると、胸やけや食道炎になってしまいます。ピロリ菌のいない人は、逆流性食道炎になる比率が6倍という研究報告が出ています。

 また、ピロリ菌は、人間の免疫にも影響を与えます。最近増えている食物アレルギー・花粉症・ぜんそく・アレルギー性皮膚炎と、ピロリ菌の関係が報告されています。
ピロリ菌がいなくなると、明らかにアレルギー症状を発症する比率が上がっています。特に、小児ほど、ピロリ菌がいないと、アレルギー症状が強く出ると言う傾向が強く出ます。

 ピロリ菌だけではなく、人間の体内には常在菌が沢山います。それらの常在菌は、ある時は、中耳炎のような痛みを発症する事もありますが、免疫をコントロールし、過剰な反応を抑える働きもあります。

 そのような人間と相互に助け合って生きて来た常在菌の最も多い場所は腸です。腸内フローラと呼ばれていますが、お花畑のように多くの細菌が住んでいます。
 この腸内フローラのバランスが崩れると、肥満・うつ病・アレルギー症状などが発症する事がしだいに明らかになっています。

 腸内フローラが正常に働いているかどうかは、毎日のお通じを観察すると良く解ります。
理想的な便は、重さが三百グラム以上で、大きさはバナナ位・長さは二十センチ以上。固すぎず、柔らか過ぎず、臭いは僅かに酸っぱい臭いが感じられるのが理想的です。

 そんな便を出すには、一日十八グラム以上(キャベツ一個分)の食物せんいが必要です。また、ビフィズス菌・酪酸菌・乳酸菌などの善玉菌を増やす事が大切です。

 毎日の食事と運動そして、善玉菌の摂取が、理想的な腸内フローラを形成し、りっぱなお通じになります。

 

 

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